今回は 写真のピント の話です。
最高の瞬間が撮れたと思ったのに、ぼやけて主役がしっかりと写っていなかったら悔しいですよね。
最近のカメラはオートフォーカス機能が進化してピントの失敗は少なくなっています。
ただ、色や明るさは後からでも補正できますが、ピントだけは後からはどうする事もできないので、写真を撮る時に気をつける必要があります。
今回は、ピントを外して悔しい思いをしないように、どうすればピントの精度を上げていけるかについて考えてみます。
ピンボケの原因
写真の主役がぼやけてしまった場合、まずはその原因をしっかりと見分ける必要があります。
ピンボケ
ピントを合わせるという事は、カメラのセンサーから目的とする位置までの距離を測り、その距離にある場所に焦点を合わせる事です。
この距離が合っていない状態がピンボケです。
ピンぼけの原因は、焦点の位置がずれてしまったり、距離がずれてしまうために起こります。
ボケとブレの違い
主役がぼやけてしまう原因には、ピンぼけのほかにブレがあります。
ブレには被写体ブレと手ブレの2つがあり、ピンボケとは原因も対策も違うので、しっかりと見分ける必要があります。
実際の写真でボケとブレの違いを比較します。
※写真は圧縮してあるため全体的にモヤッとしていますが、イメージだけは伝わるかと思います。
トランポリンで遊ぶ長男にピントを合わせる。
この時同じ距離にいるクマさんにも焦点が合っていますが、距離が少し離れたカレンダーはぼやけています。
ピントは点ではなく面で考えます。
焦点を合わせたいものが2つ以上ある場合はこのピント面を意識して、焦点を合わせたい全ての被写体とカメラの距離を合わせる必要があります。
【ピンボケ写真】
長男もクマさんもボヤけていますが、壁にあるカレンダーはしっかりと写っています。
これはピントの位置がずれてカレンダーに合ってしまい、カレンダーまでの距離がピント面となっているため、長男とクマさんがピンボケした状態です。
【被写体ブレ写真】
クマさんはしっかり写っていますが、同じピント面にいる長男がぼやけています。
ピントの位置は長男に合わせて、その面に焦点も合っていますが、長男が動いているために被写体だけがブレている状態です。
【手ブレ写真】
長男が激しくブレていて、カレンダーもクマさんもボヤけていて、写真全体がはっきりと写っていません。
これはカメラ側が動いてしまっているために生じる手ブレです。
ピント面にある静止物がぼやけていた場合は手ブレです。
写真がぼやけている原因がわかれば、その原因に対応する事で問題は解決します。
今回はピントがテーマなのでボケの対策について考えます。
ブレに関してはシャッタースピードが関わっているので、露出をテーマにした記事に書きたいと思います。
ピンボケの対策
ピンボケの原因はピント面がずれているためです。ではピント面がずれないための対策を考えていきます。
ピントの位置
まずピント面の位置をどこにするかを正確に決めます。マニュアル操作とオート操作に分けて考えます。
オート操作はキヤノンのカメラの場合、ゾーンAFになります。ゾーンAFは全体、左側、中央、右側などの大まかなゾーンを選択しておくと、そのゾーンの中にある被写体をカメラが認識し、ピント位置を決めてくれます。
さらに人物撮影の場合は、顔や瞳までカメラが認識しそこにピント位置を合わせくれる機能があるため、ピント位置の選択をカメラにまかせてしまって、シャッターチャンスなどに集中したほうが良い時もあります。
ただゾーンAFの場合、同じゾーンの中に似たような被写体が複数あると、自分が合わせたい被写体ではない方が選択されてしまう事かあります。
例えば子供の運動会などで、我が子をゾーンAFで捉えている際に、同じゾーン内にお友達が沢山入ってくると、ピント位置が別の子に移ってしまうことがあります。
そういった場合は、ピント位置をマニュアル操作で決める1点AFにします。
1点AFは自分でフレーム内の一点にAFポイントを動かして、そこに被写体を合わせます。
子供の運動会などでは、中央あたりのAFポイントを選択しておいて、そこに常に我が子が来るようにカメラを向けたほうが、AF位置のずれは少なくなります。
ピントの距離
位置が決まれば、後はそこまでの距離です。
距離を合わせる場合も、マニュアルフォーカスとオートフォーカスがあります。
【マニュアルフォーカス】
マニュアルフォーカスはレンズのピントリングを回して自分で被写体にピントを合わせいきます。
カメラの背面液晶の表示を拡大して確認しながピントを合わせていく事ができるので、カメラを三脚等に固定して料理や商品などの動かない被写体を撮る場合には一番正確な方法です。
ただ自由に動く子供をマニュアルフォーカスで撮るのは難しいので、オートフォーカスを使うことが多くなります。
【オートフォーカス】
カメラのオートフォーカスにも被写体に応じて使い分けるモードがいくつかあります。メーカーによって呼び方が違いますが機能はほとんど同じです。キヤノンで使われている名前で説明します。
①ワンショットAF
ワンショットAFはオートフォーカス機能を作動し焦点が合うとその距離でピント面を固定します。
ワンショットAFのほうがシンプルな動作なためか速度も精度も高いように感じます。動きの少ない被写体に速く正確にピントを合わせたい時に向いています。
②サーボAF
サーボAFはオートフォーカス機能を作動している間は常に被写体の動きを追従して距離を合わせ続けてくれます。
常にAFをあわせ続けてピント面が前後しているので、シャッターを切る瞬間のピント面がわかりづらい事があります。
ただ最近のカメラはサーボAFの精度がかなり高く正確なので、動きのある子供の撮影ではサーボAFが一番向いていると思います。
③フォーカスAF
サーボAFとワンショットAFを自動で切り替えてくれる機能です。一見便利に見えますが、ここの切り替えは自分で被写体に合わせ行ったほうが確実なので私はほとんど使っていません。
ピントの深度
最後にもう一つ、
ピントは面で合っていると書きましたが、そのピント面をピークとして、その前後にもピントが合う領域があります。
これを被写界深度といって、ここまでしっかり把握すると、焦点の合うゾーンをイメージしながら撮影をする事ができるので、ピントの精度は飛躍的にあがります。
ただ、被写界深度は露出の絞りによっても変わるものなので、露出の話などで書いてみたいと思います。
ピントの話のまとめ
ピント精度を高めるため大切なことは
①ボケとブレを区別して対策する
②ピントは点ではなく面で合わせる
③位置と距離と深度でピントゾーンを見極める
です。
ピントの性質を理解した上で、失敗写真を見直してカメラの設定を変えてみたりする事で、最高の瞬間をボカさずビシッと捉える確率がどんどん上がっていきます。