今日は、K&F Concept の可変式NDフィルターを紹介します。
NDフィルターは、サングラスのようにレンズに入る光を少なくする事で、写真や動画の表現の幅を広げてくれます。
通常のNDフィルターは減光量が決まっていますが、可変式NDフィルターは減光量を変える事ができるので、フィルター交換の手間が少なくなる便利なアイテムです。
利便性のみを考えると、迷わず可変式のNDフィルターを選べば良いのですが、可変式NDフィルターは、2枚の偏光フィルターを組み合わせて減光するという仕組みのため、どうしても価格が高かったり、画質が低下してしまうというデメリットがあります。
しかし!
K&F Concept の可変式NDフィルター を実際に使ってみたところ、低価格でありながら極端な画質の低下が見られず驚きました。
とにかく便利で、しかも低価格&高品質。そんなおすすめの可変式NDフィルターの魅力を紹介したいと思います。
K&FConcept の製品の特徴
K&F Concept ってどうなん?
K&F Concept(ケーアンドエフコンセプト)は、様々なカメラ周辺アイテムを取り扱っており、低価格でありながら品質の高い製品の提供に取り組んでいるいるメーカーです。
今回紹介する製品は、ND2〜ND32まで減光調整ができる可変式NDフィルターで、従来品よりもムラを抑えたという改良版。
私が主に使用するレンズはRF24-105mm F4L IS USMとなるので、フィルター径は77mmを使用しています。
ちなみに、初めて各種フィルターを購入する場合は、使用するレンズ、もしくは今後使用予定のレンズの中で、一番大きいフィルター径サイズを選ぶ事をおすすめします。
ステップアップリングという製品を使用すれば、大きなフィルターを小さく変換して使い回す事ができるので、各レンズごとにフィルターを揃える必要がなくなり経済的です。
K&F Conceptのフィルターの魅力は、なんと言っても良心的な価格設定。
可変式NDは偏光膜を使用しているため、紫外線や熱によって劣化してしまう消耗品です。
レンズフィルターで有名なケンコーの製品も、7年程度での交換を推奨しています。
経年劣化する消耗品には出来るだけコストをかけたくない貧乏性の私にとっては、低価格というのは何よりもありがたいポイントです。
可変式NDフィルターの外観
まずは外観です。
重厚な黒い箱の外装。蓋を開けると、付属の円形フィルターケースの中に製品が入っています。
個人的には、四角いケースよりも円形ケースの方が、カメラバッグの出し入れがスムーズなので好きです。
2枚の偏光フィルターを組み合わせているので、普通のNDフィルターよりも厚みがあり、ケラレ防止のために外側のフィルターが一回り大きくなっています。
外側のフィルターを回すと減光量が変わります。
外側のフィルターにND2からND32までの5段階の減光量を示す◯印があり、内側のフィルターには△印があるので、目的とする減光量になるように◯印と△印を合わせます。
可変式NDフィルターの減光量
実際に減光量を変えながら撮影してみます。
F値とISO感度を固定した状態で、シャッタースピードの変化をみていきます。
我が家の台所で水流と新緑を再現しましたw
まず、フィルターなしでシャッタースピードが1秒になるようにF値とISO感度を設定します。
次に、可変式NDフィルターを取り付け、ND2からND32まで減光量を増やして、左下のシャッタースピードの変化を確認します。
正確にND2からND32まで減光されれば、一段づつシャッタースピードが遅くなるので、
2秒→4秒→8秒→15秒→30秒
と変化するはずですが、実際は、
2秒→3.2秒→6秒→13秒→25秒
となり、最小減光量のND2ではぴったり2秒でしたが、それ以外は全て1/3段づつ速い結果になりました。
他の方のレビューをみると、減光量のズレはあるものの、最小値(ND2)と最大値(ND32)は一致したという報告が多かったので、ND32で若干のズレがあったのは残念です。
ただ、試しに手持ちの固定式NDフィルターのND16を同じ環境で使ってみたところ、やはり推定値よりも1/3段シャッタースピードが速い13秒となりました。
これは、フィルターの問題ではなく、カメラ側の露光の設定やくせみたいなものによるのかもしれません。
どちらにせよ、1/3段程度のズレがある事を念頭に置きながら使用する必要があります。
可変式NDフィルターの画質
フィルターによる画質への影響を確認します。
フィルター未使用の写真とND32で撮影した写真を比較します。
【フィルター未使用 (SS1秒)】
【可変式NDフィルター使用(ND32 SS25秒)】
一見して、明らかな露出ムラや画質の変化はみられません。一部を拡大表示してみます。
解像感もそれほど変わらず、植物が偽物である事がばっちりわかりますw。
色はNDフィルター使用時のほうが多少黄色くなっていますが、ほとんど気になりません。
拡大図で違和感のある白い模様があります。撮影時のキャプチャー動画を確認したところ、台所のダウンライトが濡れた葉に反射したものだと思われます。まぎらわしい検証画像になってしまいました。
固定式のNDフィルターとも比較してみます。
【可変式NDフィルター(ND16)】
【固定式NDフィルター(ND16)】
こちらも極端な違いはありません。
様々な環境で撮影してみないと適切な評価はできませんが、個人的な感想としては、画質への影響はそれほど心配せずに使用てきそうです。
可変式NDフィルターを使った作例
日の出直前の海で可変式NDフィルターを使用したスローシャッター撮影に挑戦してみました。
5秒〜15秒のシャッタースピードで海面のうねりをフラットに近づけ、早朝の海の静寂と朝焼けの綺麗な空を、幻想的な雰囲気で写す事ができました。
日の出や日の入りの前後は、明るさが刻一刻と変わって行きます。
人間露出計のような達人なら、瞬時に適切なNDフィルターを選択できるのかもしれませんが、私にはかなりハードルの高い撮影環境です。
こんな時に、可変式NDフィルターがあると本当に便利です。
交換の手前がなく減光量を調整できるので、手際よく意図したシャッタースピードで撮影する事が出来ます。
可変式NDフィルターのデメリット
レンズフードが使えない
可変式NDフィルターは、外側のフィルター径が大きくなっているので、レンズフードは装着できません。
斜め前方からレンズに強い光が当たるような状況の場合は、必要に応じて手や日よけなどで有害光をカットします。
また、レンズキャップを使用する場合も、一回り大きいキャップが必要になります。
私はレンズキャップを使用していないので、フィルターの汚れや傷には注意しながら使用しています。
減光量が少ない
今回使用した可変式NDフィルターは最大でもND32までしか減光できないため、日中屋外の明るい環境ではスローシャッター撮影に限界があります。
先程の日の出前の写真でも、海面を完全にフラットにするためにSSを30秒にしようと思ったのですが、減光量を最大のND32にしても足りませんでした。
環境光の明るさやカメラの設定にもよりますが、日中の強い日差しの中でスローシャッター撮影するためには、さらに減光量の不足が予測されます。
そういった場合、固定式NDフィルターと可変式NDフィルターを重ねて使用する方法がありますが、画質の低下や広角でのケラレには注意する必要があります。
今回使用したRF24-105mmと可変式NDフィルターの組み合わせに、手持ちの固定式NDフィルターのND16とND1000をそれぞれ重ねて撮影してみましたが、広角端の24mmではケラレは見られませんでした。
手持ちの機材でどの程度までケラレなく使用できるかは確認しておく必要があります。
C-PL+可変式NDフィルター
K&Fの可変式NDフィルターには、減光量の調整機能に加えて、光の反射をコントールするC-PLフィルターの機能も合わせもった製品が販売されています。
実際に使用していないので画質への影響はわかりませんが、価格が今回の可変式NDフィルターと数千円しか変わらないので、かなり魅力的な製品です。
初めてフィルターを購入するのであれば、こちらの製品を検討しても良いのかもしれません。
この一枚と、薄型の高濃度NDフィルターがあれば、ほとんどの環境でスローシャッター撮影を手軽に楽しめます。
私も、今使用しているC-PLフィルターや可変式NDフィルターが寿命を迎える頃には、オールインワンの夢のようなフィルターに移行できることを夢見ている今日この頃であります。