前回、4KビデオカメラのSONY FDR-AX45とPanasonic HC-VX2Mの違いについて書きました。
その中で、撮影した動画データの記録方式であるXAVCSやAVCHDやMP4などの動画形式の違いがわかりづらく感じたのでまとめてみます。
撮影した動画をどのように楽しむかによって、選択するべき記録方式は変わってくるので、それぞれの記録方式の違いがよくわからないという方に読んでいただければと思います。
SONYとPanasonicの記録方式の違い
SONYとPanasonicのビデオカメラは解像度によって選択できる記録方式が違います。
SONY (AX45) |
Panasonic (VX2M) |
|
3,840×2,160 (4K) |
XAVCS | MP44K |
1,920×1080 (フルHD) |
XAVCS
AVCHD |
MP4 AVCHD |
1,280×720 (HD) |
MP4
(同時記録) |
MP4 |
※SONYはフル HD(1,920×1,080)も『 HD』と液晶表記されています。
記録方式によって再生・編集できる環境が変わるので、その違いについて比較していきます。
AVCHDって何?
AVCHDはハイビジョン映像をDVDやブルーレイなどの光学ディスクに記録するのに適した記録方式で、SONYとPanasonicのビデオカメラではフルHD動画(1,920×1080)を撮影するときに選択する事ができます。
AVCHDのメリット
AVCHDは高い圧縮効率により、ハイビジョン映像の長時間撮影を可能にし、高品質な映像データを光学ディスクやハードディスク、メモリーカードなどの記録メディアに保存できます。
AVCHDのデメリット
AVCHDはパソコンやレコーダーなどの対応機器でしか使用できません。
例えばiPhoneに直接保存する事はできませんし、ウェブへのアップロードにも制限があるので、気軽にSNSでシェアしたいといった用途には向きません。
MP4って何?
MP4は様々は再生・編集機能に対応した利便性の高い記録方式で、ウェブへのアップロードにも適しています。
Panasonicのビデオカメラでは、フルHDとHD動画を撮影時に選択できます。
SONY のビデオカメラでは、XAVCSとAVCという2種類のMP4形式があり、XAVCSは4K動画とフルHD動画の撮影時に選択でき、AVCは同時記録という形で、HD動画(1,280×720)を記録する事ができます。
MP4のメリット
MP4はとにかく使い勝手が良いです。対応デバイスが豊富で、あらゆる環境で記録、再生、編集が簡単にできるので、私は動画形式で迷ったら必ずMP4を選択しています。
MP4のデメリット
MP4はAVCHDよりも画質が悪いとか、大容量なデータには向いていないと言われています。
ただ、画質に関しては撮影機器、再生機器の性能による影響が大きく、全く同じ状況で撮影、再生した同じ画素数の動画であれば、MP4とAVCHDの画質を比較しも、私には違いがわかりません。
データ容量に関しては、従来のMP4はAVCHDよりも解像度の低い動画に使われていましたが、現在は4KMP4やXAVCSといった次世代の記録方式によって、4K動画の撮影も可能となっています。
4KMP4って何?
Panasonicの4K動画の撮影では4KMP4という記録方式のみが選択可能です。
この「4KMP4」という言葉は、Panasonicの2015年モデルのビデオカメラあたりから使われていますが、あまり馴染みのない記録方式です。
以前Panasonicのビデオカメラを検討した際に、公式サポートに問い合わせてみたところ、通常のMP4と全く同じで、画素数のみが4Kに対応した記録方式だそうです。だったら普通にMP4という表記で良いと思うのですが…
XAVCSって何?
XAVCSはSONYの独自規格で、4K動画とHD動画で選択する事ができます。
『XAVC』というプロ向けの4K動画用フォーマットをベースにして、一般向けに取り扱いやすいMP4形式で記録するために開発されたのがXAVCSです。
2013年に発売された、FDR-AX1から採用され、現在の機種にも搭載されています。
XAVCSのメリット
XAVCSは画質と利便性を合わせ持つ記録方式。
画質に関しては、1秒間に転送できるデータ量を示すビットレートという数値が、AVCHDは28Mbpsが上限なのに対して、XAVCSは同じHDで50Mbps、4K30Pでは最大100Mbps、4K60Pでは150Mbpsとなっており、AVCHDよりも多くのデータを転送する事ができるため、解像感のある鮮やかな映像を記録する事ができます。
また、XAVCSはMP4形式であるため、対応機器が幅広く、ウェブ上での使用にも向いているためAVCHDよりも使い勝手が良いです。
XAVCSのデメリット
XAVCSのデメリットはデータ容量が大きい事です。
AVCHDの28MbpsとXAVCS HDの50Mbpsの違いからも、同じ画素数でありながらXAVCSの方が倍近いデータ量があるわけです。
64GBのSDカードに撮影できる時間を比べてみると、AVCHD(60P)が305分なのに対して、XAVCS HD (60P)が155分となり、やはり倍近く変わってきます。
さらにXAVCS 4K(30P)では75分しか撮影できないので、長時間の撮影の場合はかなり大容量のSDカードが必要になりますし、編集や保管についてもそれなりの覚悟が必要ですね。
XAVCSとMP4の違い
SONY のビデオカメラにはXAVCS 4K、XAVCS HD、AVCHD、MP4(同時記録時)という4つの記録方式があり、液晶表示や説明書でも区別して表記されていますが、XAVCSとMP4はどちらも同じ拡張子のMP4です。
どっちも同じなのに何故わける?
どっちも動画形式はMP4なんだけど、コーデックが違うのよ。
動画形式(MP4)はデータを入れる事のできる箱(コンテナ)で、コーデックというのは、どのようにしてデータを詰め込むか(データの圧縮や変換など)です。
SONY の場合、MP4(XAVCS)とMP4(AVC)はどちらも同じMP4というコンテナに入っているのですが、中身のデータの詰め込み方に違いがあるのです。
MP4(XAVCS)とMP4(AVC)は、同じ動画形式なのでほとんど同じように取り扱うことができると言われていますが、私が使用しているAX45の場合、使い勝手に少し違いがあります。
MP4(AVC)は、iPhoneやipadにWi-Fi転送を使って直接保存する事ができるので、iMovieアプリなどを使えば、パソコンを使わずに編集作業ができますが、XAVCSはiPhoneやipadに直接保存する事が出来ません。
試しにSDカードに保存したMP4(XAVCS)、MP4(AVC)、AVCHDの3種類の動画をApple純正カードリーダーでiPhoneに接続してみましたが、どの動画形式も読み込むことができませんでした。
つまり、AX45で撮影したXAVCSの動画をiPhoneに保存するためには、パソコンでの作業が必要になります。
※SONYのミラーレス一眼カメラでは、本体内の設定でXAVCSを直接iosデバイスに保存できるように変更できるようです。
XAVCSをiPhoneやiPadに保存する方法
AX45を使って撮影したXAVCS動画を、iPhoneやiPadでサクっと動画編集をしたい場合、わざわざパソコンを使う必要があるというのは結構わずらわしく感じます。
ただ、XAVCSはネットワーク上にアップロードすることでMP4(AVC)に変換されます。
動画をパソコンに保存してGoogle Photoなどにアップロードしてしまえば、クラウド上のデータをiPhoneなどでダウンロードするだけで、MP4(AVC)として保存や編集ができます。
※ GoogleフォトにXAVCS 4Kをアップロードすると、フル HDサイズのMP4(AVC)に自動変換されます。
AVC HDは変換ソフトを使ってMP4に変換するという作業が必要ですが、XAVCSの場合はバックアップ感覚でパソコンに保存するだけでよいので意外と簡単です。
SONY AX45におすすめの記録方式
ビデオカメラの記録方式についてまとめてみる事で自分自身も理解を深める事ができました。
その上で、現在使っているSONY FDR-AX45の記録方式はどれが一番おすすめかというと…
迷わず XAVCS 4K です。
SONYの4Kモデルを購入したということは、画質を最優先にしているわけですから、最高画質であるXAVCS 4Kを使わないのはもったいない!
ただし、AX45のXAVCS 4Kは1秒間の撮影コマ数であるフレームレートが30Pまでという制限があります。動きの速い運動会などの場合はXAVCS HDの60Pで撮影して、動きの滑らかさを優先しても良いでしょう。
4K動画はデータ容量が大きいという問題はありますが、最近はストレージも大容量、低価格化が進んでいますし、パソコンやスマホのスペックも進化しています。
データ通信でも5Gが普及すれば、大容量の動画もサクサク送信できるようになるでしょう。
そして、大は小を兼ねるです。
XAVCS 4Kを FHDやHDのMP4やAVCHDに変換する事はできますが、その逆は不可能です。
最高画質でバックアップを取っておけば、そう遠くない未来では、XAVCS 4Kを快適にリーゾナブルに楽しめる環境が整う日がくるはず…です。