EOS KissMとSuper Takumar 55mm f1.8というオールドレンズを使って、虹色の光のリングが写る写真を撮ってみました。
こんな感じのリングです↓
最近インスタグラムやツイッターでもオールドレンズで撮影した写真をみる事が増えました。
『オールドレンズ』と聞くと、カメラ玄人の世界というイメージがあって、なんとなく敷居の高い領域のように感じていました…が!
実際に使ってみると、想像以上に楽しくて、しかも意外と簡単なんです。
カメラや写真が好きな人には是非とも体験してほしい素敵な世界だと思うので、そんなオールドレンズの魅力をレポートしたいと思います。
今回の使用機材はこちら
YouTube動画もご参照ください。
オールドレンズが人気の理由
独特で魅力的な描写のオールドレンズは以前から人気がありましたが、ミラーレスカメラの普及によってさらに身近な存在になりました。
ノスタルジックな描写の魅力
オールドレンズには、独特なボケや色味の個性的な描写のレンズが多く、作例をみると柔らかく優しい雰囲気であったり、どこか懐かしい不思議な魅力があります。
レンズやカメラが高性能になった事で、鮮明で解像感のある写真があふれる現代だからこそ、オールドレンズのノスタルジックな描写が、ちょっと『映え』に飽きたなっていう気分を癒してくれるのかもしれません。
一眼レフよりもミラーレスカメラの方がオールドレンズに適している理由
①マウントアダプターが豊富
ミラーレスカメラは、ミラーがない事によりフランジバックが短いという特性があり、一眼レフよりもマウントアダプターの設計が簡単です。
ミラーレスカメラの普及によって、様々な種類のマウントアダプターが各社から発売されるようになったことで、高品質なアダプターを手頃な価格で購入する事ができるようになりました。
今回使用したのはK&F Concept の製品です。
K&FConceptはカメラ周辺アイテムを高品質・低価格で提供しており、以前紹介した可変式NDフィルターもコスパ最強の製品だったので、最近お気に入りのメーカーです。
今回のマウントアダプターも、質感が良くて期待どおりのクオリティでした。
②マニュアルフォーカスが簡単
マニュアルフォーカスが苦手だったり面倒という理由で、オールドレンズに抵抗感がある方も多いのではないでしょうか。
私もです。
その悩みをズバッと解決してくれたのが、ミラーレスカメラです。
ミラーレスカメラであれば、ファインダーでもピントの山が簡単に見えますし、拡大表示機能などにより、マニュアルフォーカスが一眼レフカメラよりも格段に楽になります。
ミラーレスカメラを使っているなら、オールドレンズを楽しまないのはもったいないと思えるぐらい、両者の相性は良いのです。
Super Takmar 55mmの魅力
今回使用したSuper Takumar 55mm f1.8は1960年代に生産されたレンズです。
生産時期にもよるようですが、トリウムという放射性物質を使うことで光学性能を高めた、通称アトム(放射能)レンズ と呼ばれています。
禁断の錬金術のような魅惑のレンズですが、通常の使用では人体に影響を及ぼすほどではないそうなので、私は気にせずに使っています。
放射線の影響でレンズが黄色く変色してしまうという特徴がありますが、デジタルカメラでは、オートホワイトバランスでもしっかり調整してくれるので、気にせずに使えます。
虹色リングゴーストがでやすい!?
私がオールドレンズを手にしたきっかけは、Instagramの投稿でみつけた綺麗な虹色のリングが写った写真に魅了されたからです。
その写真を投稿された方が使っていたのがSuper Takumar 55mmだったのです。
光の輪が不思議な雰囲気を作り出して、なんとなく懐かしくて、なんとなくいい感じの写真。
この光の輪は『ゴースト』と呼ばれています。
ゴーストとフレア
太陽光などの強い光がレンズにあたる逆光状態で写真を撮ると、レンズ内で反射した光が独特な形で写真に写ることがあります。
点や玉やリングのような形で写るのがゴーストで、全体的に白くなって光に包まれているようになるのがフレアです。
ゴーストやフレアは、主題に重なったり解像度を低下させてしまうため、本来は発生しないように気を使う現象であり、現代のレンズでは様々なコーディングなどによりゴーストやフレアが発生しないように対策されています。
そのため、あえてゴーストやフレアの独特な雰囲気を楽しみたい場合は、まだコーディング技術が完成していない時代のオールドレンズを使う必要があるのです。
Super Takumar 55mmはゴーストやフレアが盛大に出る事で知られているレンズなので、私の用途にはぴったりのオールドレンズ です。
ちなみに、1970年代になると、コーディングによって逆光耐性が向上したSMC Takumar が登場しますが、こちらの製品は当然ながらフレアやゴーストを楽しむには向いていません。
Super Takumar 55mmの中古購入レビューに、Super Takumarを注文したのに、SMC takumarが届いたというレビューがありましたので、購入後はレンズのSMCの表記の有無を確認してみましょう。
EOS kiss Mとオールドレンズの使い方
オールドレンズの取り付け
レンズとアダプターの接続はスクリューマウントでネジのようにクルクルと回して装着します。
カメラとアダプターの接続は通常のEF-Mレンズの取り付けと同様に、取り付け指標のポッチを合わせて差し込み、カチっと鳴るまで回します。
簡単!
カメラの設定
KissMでSuper Takumar を使うときは、以下のカメラの設定を行います。
レンズなしレリーズを『する』にします。
撮影時の拡大表示機能を設定をしておくと、マニュアルフォーカスが楽です。
kissMの場合、私はシャッターボタンの右側にある動画ボタンに割り当てています。
撮影モードは絞り優先モードが使いやすいと思います。レンズで絞りを決めれば、明るさはカメラが自動でSSとISO感度を調整してくれるので、撮影時は構図やピントに集中できます。
レンズの設定
撮影時に絞りとピントを調整します。
ゴーストは絞ったほうがでやすいと言われていますが、私が撮影した時はリング型のゴーストに関しては絞り開放でしかでませんでした。
そのため、常に絞りは開放のままで、ピント合わせのみに集中して撮影しました。
ゴーストの撮影方法と作例
撮影方法
ゴーストやフレアを発生させるためには、逆光で撮影する必要があるので、朝や夕方の太陽の位置が低い時間帯がおすすめです。
ゴーストはフレームの端に太陽を配置する事で発生しやすく、光源の対側に発生するといった規則性があります。
ミラーレスカメラの場合は、液晶でもファインダーでもゴーストの発生状況を確認する事ができるので、主題との重なり具合を調整しながら撮影します。
作例紹介
EOS kissMとSuper Takumar 55mm f1.8で、早朝の日の出直後に撮影した写真を紹介します。
50年以上も前のレンズとは思えないほどよく写ります。色味もボケも綺麗ですし、理想通りの虹色のリングゴーストが発生してくれました。
フルサイズでも Takumar を使いたい!
EOS kiss M とSuper Takumar の組み合わは、コンパクトで操作性も良く、撮れる写真の雰囲気も大好きなのでとても気に入っています。
ただ、EOS kiss MはAPS-Cセンサーなので、画角が中望遠の88mmとなります。
Super Takumarの描写が想像以上によかったので、せっかくならフルサイズセンサーのカメラを使って、もう少し広い画角や、フルサイズのボケ味も試してみたくなります。
私はキヤノンのフルサイズミラーレスカメラのEOS RPを使っているので、マウントアダプターを調べてみたところ、K&F Concept からM42とRFマウントのアダプターも発売されていました。
欲しい…ただ、価格が約5,000円とマニュアルフォーカスのアダプターとしてはちょっと高いので悩ましいところ。
Super Takumar 55mm はゴーストやフレアを写したいという用途には最適のレンズです。
ただし、その魅力を体感してしまうと、新たにオールドレンズ沼やマウントアダプター沼が待ち受けていますのでご注意ください。
【2019.11.23 追記】
結局マウントアダプターを購入して、EOS RPでもスーパータクマーを使ってみましたW