キヤノンRFマウント待望のガチマクロレンズであるRF100mmF2.8L MACRO IS USMはユーザー評価が異常に高く、様々なレビューサイトで称賛されています。
個人的にも以前から気になっていたレンズで、発売日に購入にしてガッツリと使ってきましたが、1.4倍のマクロ機能はもちろん、中望遠レンズとしての描写性能も素晴らしいので、全RFマウントユーザーに全力でおすすめしたい最高のレンズです。
ただ先日、ある海外のレビューサイトに「RF100mmマクロにはフォーカスシフトの問題がある」という記事が掲載されていました。
とても細かく評価されていてすごく参考になるレビューなんですが、もしもピント合わせの大敵であるフォーカスシフトがあるとすれば、かなりやっかいな問題。ということで、今回は本当にRF100mmにはフォーカスシフトが発生するのかを試してみたいと思います。
この記事の内容はYouTubeにも投稿していますので、ぜひそちらもご参照ください。
フォーカスシフトとは何なのか
フォーカスシストとは、絞りを絞ることでピント位置が動いてしまう現象です。
例えば30センチ先にある被写体にピントを合わせた場合、F2.8では問題ありませんが、F4やF8、F5.6、F8と絞っていくと、同じ場所にピント合わせているはずなのにピント面が少しずつ後方にずれていってしまいます。
これの何が厄介かと言うと、キヤノンのカメラは常に開放絞りでピント合わせる仕様なので、撮影時にしっかりとピント合わせたはずなのに、実際に撮れた写真はピント位置がずれてしまって意図した場所がボケてしまっているという事態が発生する可能性があることです。
実際に撮影時の液晶を見ていただくと分かりやすいと思うんですが、絞りをF11に設定しても、実際には絞りはまだ完全に開いてます。

AFを作動してもまだ絞りは開放のままで、シャッターを切る瞬間に絞りが絞られてF11での写真が撮れるようになっています。

ピント合わせまでを開放絞りで行うことで、前後がボケてピントの山がわかりやすかったり、十分な光を確保した状態なのでAFの精度も高くなるというメリットはあるんですが・・・
もしフォーカスシフトによってシャッターをきる瞬間にピントがずれてしまったら全く意味がなくなってしまうので、かなり重大な問題です。
マクロレンズのフォーカスシフト
RF100mmマクロを実際に使っていてフォーカスシフトが気になったということはなかったんですが、今回の記事を読んでから改めて振り返ってみると、少し気になる写真がありました。

こちら、朝散歩しているときに蝉が脱皮しているところを見つけて撮影した写真です。たしか等倍近くまで寄って、F4で目にピントを合わせて撮影したんですが、後から写真をみてみると、若干目よりも後ろにピントがあります。

こときは手持ちのAF撮影だったので、単純にピント合わせに失敗しんだなぁと思っていたんですが、もしこれがフォーカスシフトによるものだとしたら、今後同じような写真を量産してしまうことになるので、何かしらの対策が必要になります。
フォーカスシフトの検証条件
海外のレビューサイトには「F2.8やF11で撮影する場合や、フォーカス距離が長い場合はフォーカスシフトは問題にならない。」と掲載されているので、近接撮影でのF4からF8付近でフォーカスシフトが発生するということになります。
今回の検証はかなりざっくりとした方法なので、参考程度にみていただければと思うんですが、まず机の上に定規を置き、そのメモリにピントを合わせてから、F2.8、F4、F5.6、F8、F11と絞りを変えながら撮影していき、ピント面の変化を見てみたいと思います。

撮影距離のほうは、最短だと手前に余裕がなくなってしまうので、大体等倍になる30センチ位の位置にピント面を設定しました。

レビューサイトでは、オートフォーカスでピント合わせてからレンズをマニュアルフォーカスに切り替えて、絞りを変えながら撮影していったということなので、今回も同じようにオートフォーカスからマニュアルフォーカスに切り替えて撮影していきます。

本当は遠隔で操作したほうがいいと思うんですが、今回はより実践的な場面を想定してカメラを直接操作します。
MFでのフォーカスシフト検証
MFでの撮影結果がこちら





いかがでしょうか。ちょっと角度が浅かったり、メモリの塗装が定規の表面にないのでわかりづらいかもしれませんが、個人的にフォーカスシフトはそんなに気になりません。(ISOやWBをオートにしてしまったので、そっちのバラつきのほうが気になりますw)
このままのサイズだとちょっとわかりづらいので、ピント位置を少し拡大してみます。





ピントを合わせた10cmのラインに関しては全てしっかりと解像していますし、被写界深度の広がりかたをみても、そんなにピントの山がずれていっているような印象はありません。
AFでのフォーカスシフト検証
今度はフォーカスポイントは固定したまま、ワンショットAFで絞りを変えるたびにピントを合わせながら撮影してみました。





結果はMFとそれほど変わりません。もう少し細かくみればピントの山は奥にずれているのかもしれませんが、ピントを合わせた場所が被写界深度から外れるようなことはありませんし、実用上は問題ないんじゃないかと思います。
最短撮影距離でのフォーカスシフト
一応、最短撮影距離ても検証してみました。





こちらもピント面はしっかりと解像しています。
追記 もう少ししっかり検証しみた
ここからは追記になります。
今回のフォーカスシフト検証は勢いでYouTubeとブログに投稿したのですが、改めてみると、さすがにちょっと適当過ぎたので、もう少し条件を整えて撮影してみました。

撮影したのは簡易評価チャートです。
初回同様に最短撮影距離でMFで撮影し、今回はしっかりホワイトバランスも固定して、ISOも一段すつマニュアルで設定しました。
撮影時もスマホのアプリを使って、カメラには全く触れずに絞りを変更しながらシャッターをきっています。





結論は変わらず、
フォーカスシフトは気にならない
でした^ ^
まとめ
ということで。
個人的には、RF100mmはフォーカスシフトを気にせずに使っていきたいと思います。
かなり適当な検証だったので断言はできませんが、とりあえずピントを合わせた場所がボケていなければOKです。
フォーカスシフトを指摘していたレビュー記事では、キヤノンの技術担当者にも問題を確認してもらって、テスト結果は日本のキヤノンのレンズチームに伝えたそうなので、今後もこの問題の続報などがあれば確認していきたいと思います。
そして、もしフォーカスシフトがないとなると、最初に紹介した蝉の写真に関しては、やっぱり完全に私の失敗ということになりますね。

マクロ撮影はブレやボケにかなりシビアなので、このレンズをしっかりと使いこなせるように、これからもガンガン使い込んでいきたいと思います。
以上、RF100mmF2.8L MACRO IS USMにはフォーカスシフトがあるのかの検証でした。最後まで読んでいただきありがとうございました。