以前、EOS kiss Mでオールドレンズのスーパータクマー55mm f1.8を使ってみました。
マニュアルフォーカスが苦手だからオールドレンズはちょっと…
と思っいた私ですが、実際に使ってみると、ミラーレスカメラの特性もあって意外と簡単。
そしてスーパータクマー55mmが凄い!
50年以上前のレンズとは思えない描写力。優しいボケや色と、印象的なゴーストやフレアにすっかり魅了されてしまいました。
APS-Cセンサーのkiss Mでも想定以上に素敵な写りだったわけですから、そうなってくると、
フルサイズでも使ってみたい!
ということで。今回はフルサイズセンサーのEOS RPで Super Takumar 55mm F1.8を使ってみたので、その使用感などをレポートします。
【YouTube動画もご参照ください。】
タクマーってどんなレンズ
Super Takumar 55mm f1.8は1960年代にアサヒペンタックスより発売され、フィルムカメラで使われていたレンズです。
タクマーについては以前の記事でも紹介しているので、今回はざっくりと特徴を紹介します。
オールドレンズ
フィルム時代に、高い描写性能から人気を博したレンズで、かなりの数が生産されていたため、現在も多くの中古レンズが流通しており、比較的安価で手に入れやすいオールドレンズです。
半世紀も前のレンズなので、できれば手に取って状態を確認してから購入したいところですが、我が家の近所ではオールドレンズを取り扱う店舗がなかったためAmazonで購入しました。
「非常に良い」と表示されたものを購入しましたが、なかなか状態の良いレンズが届き一安心。
アトムレンズ
スーパータクマーは、レンズの光学性能を高めるためにトリウムという放射性物質が使われた、アトム(放射能)レンズ と呼ばれています。
通常の使用では人体に影響を及ぼすことはないそうですが、気になる方はご注意ください。
厳密には、初期に生産されたレンズではなく、リニューアルされた後期型がアトムレンズだといわれており、放射線の影響でレンズが黄色く変色してしまうという特徴があります。
レンズの黄変と聞くと不安になりますが、現代のデジタルカメラではオートホワイトバランスでもしっかりと調整してくれるので、ほとんど気になりません。デジタルって便利w
ゴースト&フレア
スーパータクマーはゴーストやフレアが発生しやすいレンズだといわれています。
ゴーストとは、逆光時などにレンズ内に強い光が入ると、レンズ内で反射した光が絞りの形や楕円などとして写る、光の像のことです。
フレアは、太陽光などの強い光の方向にレンズを向けると、レンズ面やレンズの鏡胴内で有害な光が反射して発生する光のカブリが発生します。これにより、画像の一部または全体が白っぽくなり、シャープさを欠いた写真になります。
本来であれば、画質を低下させてしまう厄介なゴーストとフレアですが、それをあえて表現のひとつとして楽しみたいという目的でスーパータクマーを使っている方もいます。
RFとM42マウントアダプター
EOS RPでスーパータクマー55mmf1.8を使うためにはマウントアダプターが必要になります。
スーパータクマーはM42マウントというネジのように回して取り付けるスクリューマウントです。
M42マウントは、フィルム時代に多くのメーカーが採用していたことから中古レンズの数が多く、オールドレンズでは定番のマウント。
一方で、EOS RPのRFマウントは2018年に誕生したばかりの新しいマウントなので、
RFとM42のアダプターはまだないかな
と思っていたのですが…ありました!
EF-Mでも使っていた安心品質のK&F concept
使い方は簡単で、タクマーにくるくると回して取り付けてRPにカチャっと装着するだけです。
EOS RPのマニュアルフォーカス設定
EOS RPでオールドレンズを使うときに必要な設定やおすすめの設定を紹介します。
①レンズなしレリーズを「する」
まずは必ず必要な設定ですが、レンズなしレリーズを「する」に設定しましょう。
電子接点がないマウンアダプターではカメラがレンズを認識しないため、この設定をしておかないと撮影することことができません。
②拡大表示とピーキング
マニュアルフォーカスを手助けしてくれる便利な機能に、ピント面に色をつけてわかりやすくしてくれるピーキングと、ピントを合わせたい場所を大きく表示する拡大表示があります。
より早くピント合わせができるピーキング
上の写真だと少し見えづらいかもしれませんが、ピント面に赤く色がついていて、レンズのピントリングを回すと、赤いピント面が前後に移動するのがはっきりとわかります。
※YouTube動画の1:18~もご参照ください。
ある程度絞って被写界深度が深いときなどは、ざっくりとピント面がわかればよいので、マニュアルフォーカスでもサクサクと撮影できます。
ただしEOS RPは、映像外部出力時や拡大表示をしているときはピーキングが使えません。
外部モニターを使用中は使えなかったり、拡大表示と併用してさらに精度を高めたいといった使い方ができないので少し残念ですが、そういったシーンではじっくりピント合わせができる場合が多いので、ピーキングはあくまで手軽に素早くピントを合わせたいときに使っています。
設定はメニューの「MFピーキング設定」のなかのピーキングを「入」にしておけばOKです。
レベル(強弱)と色(赤青黄)も選択できます。
より確実にピント合わせができる拡大表示
ピントを合わせたい場所を大きく表示することて、合焦状況を確認できる拡大表示機能。
割り当てたボタンを押すたびに、5倍と10倍と拡大解除を切り替えることができます。
【拡大表示5倍】
【拡大表示10倍】
【拡大解除】
カメラのボタン カスタマイズ設定で拡大表示を割り当てたいボタンを決めておきます。
押しやすい場所が良いのですが、わたしはプレビュー時の拡大表示と同じAFフレームボタンに設定して、撮影時とプレビュー時の拡大操作を統一しています。
また、オールドレンズを使うときは、フォーカスポイント(拡大場所)を決めるときに、自動認識や液晶のタッチ&ドラッグ機能が使えないため、AFフレームダイレクト選択を設定しています。
これが少し面倒で、撮影時は拡大してから十字キーをポチポチと押して拡大場所をピントを合わせたい主題まで移動させる必要があります。
撮影時にポチポチしている余裕がないときは、フォーカスポイントは中央に固定しておいて、中央で主題にピントを合わせてから、距離が変わらないようにフレーミングを変えています。
ピーキングでざっくりとピントを合わせてから、さらに正確にピントを合わせたいときや、合焦状態を確認したいときに拡大表示をするといった使い方がおすすめです。
④露出モードは絞り優先かマニュアル
露出は絞り優先モードでの撮影が楽です。
通常の絞り優先モードと同じで、レンズの絞りダイヤルを設定するだけで、明るさはカメラが自動で設定してくれますし、微調整をしたい場合は露出補正もできます。
ゆとりがあればマニュアルモードにすることで、より思い通りの露出に設定できますが…
わたしはピント合わせで手一杯なので、絞り優先モードで露出はカメラに任せてしまいまうことがほとんどですw
スーパータクマー55mmとEOS RPの作例
RPとタクマー 55mmで秋桜を撮ってみました。
ほどよい解像感で柔らかく優しい描写ですね。
「秋桜」だからかもしれませんが、どことなく哀愁漂うノスタルジックな雰囲気を感じます。
言葉にするのが難しいのですが、タクマーで撮影した写真には、「なんかいい感じ!」と心が動く不思議な魅力があります。
kissMとタクマーで秋桜を撮ったときも同じように感じましたが、やはり同じレンズを使ってみると、EOS RPは色や明るさの諧調表現の違いからか、一皮むけた感のあるクリアな印象があり、フルサイズセンサーの底力を感じます。
タクマーのおすすめポイント
タクマーの特徴は盛大なゴーストとフレア。
もともとこれが目的で手に入れたレンズです。
もちろん、半世紀前のレンズとは思えないほどよく写るレンズですが、解像感を求めるのであれば現代の高性能レンズのほうが確実ですよね。
タクマーは、あえて解像感を低下させるゴーストやフレアを発生させることで、どこか懐かしいレトロな雰囲気を楽しむことができます。
朝日や夕日が照りつける時間帯に、独特な光に包まれた懐かしい情景や日常のワンシーンを切り取りたい。そんなときにおすすめしたいオールドレンズがスーパータクマー 55mです。